虎印 黒船ノート２０XX

同じ時間帯に作業療法士（以下、ＯＴ）に施術を受けている患者は、私を含めて３名。他の２名は入院患者だった。
ＯＴ室は、Ｍ病院のリハビリ室で作業療法が使っているスペースの半分ぐらいだが、３名の患者には十分な広さである。
ＯＴは担任制で、私の担当になったＮ先生は40代後半ぐらい？のベテランっぽい感じの人だ。
会話や説明も明朗でわかりやすいし、こちらの訴えもよく聞いてくださる。ホッとした。

Ｍ病院はワンフロアの半分を占める広いリハビリ室に、患者が大勢出入りしていた。
ＯＴは５〜６名おり、入院中は担任制だったが、外来になってからはその時々で誰がその日の担当になるかわからないシステムだった。
そしてＯＴは忙しく、１人の患者をベッドでマッサージしながら、別の患者がテーブルで行なっている自主トレを観察する、というのが常であった。
私は小さな子供連れの患者への苦言(大人しくしてる子なら文句は言わないが)をアンケートに書いたり、パズル組み立てのテストの際、患者の家族が近くで大きな声を出していた(患者の耳が遠いのだろう)ことで「もっと集中できたら結果が違っているはずだ」と言い訳を言ったりした。
今思えば、Ｍ病院のリハビリ室は良く言えば活気があり、悪く言えばざわざわして落ち着きがなかった。

しかし、Ｍ病院が悪いとは言わない。入院中や退院してしばらくの間は、活気があってざわざわしてるぐらいの方が、刺激にもなってよかったんだろうな、と素直に思う。
そして現状では、落ち着いたＴ大病院の環境が非常に有難く思う。

腕を伸ばしたり方向を変えたりして角度を測る。
椅子に腰掛けたまま足を片方ずつ、ヒザをつけてヒザから下を開いたり閉じたりの一定回数の時間を計る。
などなどを運動テストとして行ない、結果は
「無視できない麻痺がまだ残っている」というレベルだそうだ。

次回はモノをあちらからこちらへ動かすテストをするらしい。
あとは、こんな自主トレをやるように言われた。
右腕をまっすぐ伸ばす→肘から先を曲げる(肘はそのまま)
この「伸ばす」「曲げる」をできるだけ早く、１回10セット。
これを１日に何度もやりなさいということだ。

手軽なのでマジメにやっているが、こういう早い動きはまったく初めてで、やった後は腕が５倍くらいに膨れ上がったような感覚に陥る。が、痛いとかツライは無い。

いずれにせよ、無理せず地道にコツコツと…
所詮はこれが王道なのかも。