虎印 黒船ノート２０XX

Ｕ先生 (Ｘ大学前学長) が 12月 6日 7時 27分 に、入院先の病院にてご逝去されました (享年 66才)。間質性肺炎に通常の肺炎を併発した上での呼吸不全が原因となりました。ここに謹んでお知らせ いたします。なお、ご遺志により、親族だけの密葬とする旨をご家族より承っておりますので、弔問はご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

…こんな通知を受け取ってしまった。
ハガキの最後に
「Ｕ先生の研究室にあるパソコンに保存されていた、年賀状用の名簿に基づいて送付させていただきました。既に伝聞でお知りになっていた など、重複等の失礼がありましたら、お許し下さい。」
とあり、教え子の方のお名前が記されていた。

Ｕ先生。
人はどうしても やっぱり いつか死んでしまうんだな…
改めて なおかつ やりきれなく思う。

20代前半、７月２日のブログ「Ｉちゃん結婚お披露目会」に書いた“溜まり場だったスナック”で私はアルバイトをしていたのだが、Ｕ先生はその店のお客さんだった人だ。
「スナックの女の子」と言っても色気は皆無。大酒飲むことしか取り得が無かった私を、先生はよく可愛がってくださった。

店が無くなってからも、先生とは年賀状でだけおつきあいがあった。
年に１度の近況報告を読むたびに、明るいお元気そうなお顔を思い出していたのに。
がっくりとチカラが抜けてしまった。
遠くで手を合わせよう…

土曜の昼の外出帰り。
昼食に何を食べようかと考えている時に、ふと、明日が亡父の誕生日であることを思い出した。
「そうだ…　昔、寄席の帰りにお蕎麦食べたよなぁ」
ファザコンの私は途中下車し、上野の蕎麦屋に行ってみることにした。

10年ぐらい前のことになるかもしれないが、上野の鈴本演芸場が夏場の日曜日に限って「早朝寄席」を興行していた時期があった。通常の昼の部（正午ごろから）が始まる前の時間に、若手ばかりでなく真打クラスも出演し、たしか500円で見られたのだ。

私が日曜の朝にゴソゴソ支度をしていると、父が
「どこ行くんだ？」「寄席」「俺も行く！」
かくして何度となく、親子で寄席デートとなった。
この寄席の帰りに「蓮玉庵」や「池之端 薮蕎麦」で蕎麦を食べたものだった。

蕎麦屋で天せいろにビール。
そして一服した後は、後楽園で馬券を買うのがいつものコースである。
それから帰宅しても、メインレースには十分間に合うのだ。

ぜいたくな休日だったなぁと思う。
父も私も元気だった、いい時代。
父の誕生日で思い出しました(^-^)

1980年、都立Ｔ高校２年７組は文化祭で、喫茶店「黒船」を出し物とした。
そしてそこに来てくれた人たちの署名簿というか、ペンションなどにある「思い出帳」にするべくノートを一冊置き「黒船ノート」と命名した。

文化祭終了後「黒船ノート」はクラス内を巡回するようになり、恋の悩みやそれに対するコメント、あるいはリレー物語など、思い思いの事を書く者たちが現れた。
執筆者は、同じクラスであれば男女を問わず成績の良否を問わず…だった。
今で言うネットの掲示板のような役割を果たしていたのだ。

３年生になり、進路によるクラス替えで、クラスメイトはばらばらになった。
しかし卒業時、何冊かになった「黒船ノート」は、２年７組の担任だったＯ先生に進呈された。

…というわけで、懐かしい思い出の「黒船ノート」をタイトルに頂戴したというわけです。

あれからもう25年か…
先生、まだ持ってるかな？

しかし『喫茶「黒船」』の由来はなんだっけ？？？